kiroku

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日々の記録

銀杏と同級生の結婚の知らせ

早朝、秋晴れの空、空気が冷んやりして思わずベランダに出る。秋が来たんだ!と喜んでいたら、昼は夏のように暑いなんて、ずるい季節だ。

SNSのおすすめに突然でてきた同級生のアカウント。アカウントのページにすすむと、子どもの写真が投稿されていた。もうそんな年齢なんだと思ったり、同じ地域に居るのに会ったことないなと思ったり、会いたくないなと思ったり。そういえば、知り合いと電話したとき「最近、2人の友達から結婚や出産の連絡がきた」と言っていたことを思い出した。私は友達が少ないからそんなことないけど、人の結婚を見ても不思議と結婚したいと思わない。結婚願望もないから焦りもない。良いのか悪いのか分からないけれど。

何かを始めることを決めたとき、私はやる気に満ちていて、ここから始めるんだって強く思いながら待っている。少しずつ、始まりが近づくにつれて不安になるのも通常運転。方向音痴だから、道に迷わず行けるかなとか、そういう、側から見ればくだらないような悩みを抱えて。久しぶりの日本社会だから、業務をちゃんと覚えられるかなとか、向いてなかったらどうしようかな、とか。そんなことを考えて眠れなかったりする。約束の前になって急に嫌になっても、ぶっちぎることは無い。大人だから。けれど何故か、予定をぶっちぎりたくなり、何もかもを止めてしまいたくもなる。思い返せば、別れの場面で泣かなければ生きられない体質みたいに、私は泣いている。大学の入寮日には駅で母との別れを惜しみ泣き、初めて帰寮する時も見送られながら新幹線の中で泣いた。台湾へ行くときも不安で機内で泣いていたし、タイへ行く時も空港で泣いた。一生の別れかと勘違いして泣くのではなく、1人だと心細くて泣いてしまう。誰も助けてくれない場所で、何もない場所で、1から始めて強く生きられるようになりたいと離れていくくせに、何年経っても別れる時に泣くので強くなれてないんだろうな。

祖母と郵便局までの道を歩いた。銀杏並木の木下に落ちた銀杏が、踏まれて潰れて、日に焼かれ独特な匂いを発する。誰にも必要とされていないような踏み潰され方、踏み潰されて当然というような銀杏に切なくなる。助ける力など私にも無く、一体この年齢になるまで何をしてきたのかと言われているみたいで目を逸らす。

銀杏の匂いが消えるころ、暦は冬になり、私はようやく秋を感じるのかもしれない。