kiroku

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日々の記録

縁とか、出逢いとか。

運命の話。

大学生の頃に行っていたコンビニの店員さんと数年後に会った。その時はただの客と店員だった。研修の帰り、電車に乗っていたとき「実は、大学が〇〇なんです。学生のとき近くのコンビニでバイトしてて…」「もしかしてローソンですか?私、よく行ってました。」「え、そうなんですか?」「はい、近くに住んでたので。友達と週に一回は行ってました。」「すごい!数年前に僕たち出会っていたんですね。」という会話をした。まさか数年後に会うことになるとは。数年後に一緒に電車に乗ったり、LINEを交換したりする人と既に会っていたとは…。

以前、アルバイトをしていた頃に出会った青年の話。もう何年も前で、その後は繋がりもないのに、なぜか今でも忘れられずにいる。忘れられないというより、その青年のことをふと思い出す。私より年下で人懐っこい感じだった。まだ20歳くらいだったけど、結婚して、子どももいて。「家に帰ると奥さんと子ども(赤ちゃん)がいるんっすよ。今ワンルームなんで広い家に引っ越したくて。もっと遊びたいな〜とか思うっすね。帰りたくねぇーとか。笑」と、本音か冗談かわからないことを言う人だった。本音を冗談っぽく話す、そういう話し方が上手い人だった。深刻そうな、触れることを躊躇するような話題を自らポロッとこぼすくせに、心配させないように、深刻に受け取らせないように配慮していて。敵をつくらず、愚痴を言いながらも真面目に働いて。「何とかなりますよ」って笑い飛ばすのに、すごく深刻そうな顔をすることもあって。その時の雰囲気や表情を今でも思い出す。繊細な人なんだろうなと思いながら、まだ若いのに色々なものを見てきたんだろうなと私は思った。本当はどんな人なのか分からないけれど、私が知っているのは素敵な人だったということ。幸せでいてくれたらいいなぁ、ってそれだけを思う。

仕事を辞めることにした女性。彼女は「ずっと仕事を辞めたい」と言っていた。けれど家庭の都合でやめられないようだった。「父親が昔から働かない人で、母親もそんなには稼げないから私が働かなきゃいけなくて。やりたいこともあるし、あったんだけどね、人生そんなに上手くいかないっていうか。やりたいことをできるって羨ましいけど私は無理だからさ。」と言っていたのを覚えている。私より少し年上で本当に親戚のお姉さんみたいな優しい人だった。それから、仕事のできる人だった。私は自分が自由に生きていることに後ろめたさを感じながら、こういう優秀な人が家族の都合で進路を阻まれるのは悔しいなと思っていた。結局、彼女は新しい職場を見つけて仕事を辞めた。けれどそれは、やりたい仕事ではなく、家族のために給料がいい仕事。可哀想とは思わなかったし、何を選ぶかは自由だからと思いつつ、でも、どこかでやっぱり悔しかった。

職場の先輩が「私、施設で育ったの。」と切り出した。「施設で育ったの」と言った後、私の反応を見て、彼女は明るい雰囲気で話を続けた。遊びに行くよと言われて着いたら施設だった。家に帰ったら家具とか全部なくなってて、と。行きたかった高校には通えなかったこと、18になったら施設を出されること、飼っているウサギの話、お父さんの話。本当に色々なことを話してくれたし、私も誰にも言わないようなことを話した。母親は消息不明で、父親と祖母がいること。それから、既婚者と恋愛関係になったこと、今はもう別れたけれど、連絡が来るから関係を断ちきれないことも。サッパリして媚びない女性に見えるのに、接するほど、寂しがり屋なんだろうなと思うようになった。家族にお金を求められても、不倫だと分かっていても、人との繋がりや関係性を失うことの方が彼女にとっては辛いのかもしれない。「不倫はやめた方がいい」私もそう言えればいいのに言えなかった。

また会いたいなと思う人はたくさんいるのに、きっともう会えない人の方が多い。きっともう会えないと感じながら「またね」と言って別れる辛さ。ずっと大切にしたい出会いが多いほど、抱えきれずに気づかぬ間に手放してしまう。

会えないことは救いなのか哀しみなのか。