kiroku

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日々の記録

自分を優先することは困難だ、

働く目的の話。

給料が低くても好きな仕事をするのか、好きな仕事でなくても給料の高い仕事を選ぶのか。友人とそういう話をした。友人は、趣味や休日の充実を大切にしたいから休日に仕事を持ち込む仕事は嫌だと言った。その時の私は、給料が低くても好きなことを仕事にしたいと思っていた。休日が無くてもいいし、休日に仕事をしてもよかった。

けれど最近、30歳に近づくにつれて迷いが出てきている。何のために働きたいのか、何を目指すのかを見失っている。家族のそばにいたいのか、離れていても海外へ行きたいのか。どんな大人になりたいのか、何を身に付けたいのか、分からなくて時間だけが過ぎていく。

テレビのコメンテーターが言った。「大人になって新しい世界を知って、目標や目的が変わることは当然です。誰かの期待に添えなくても悪いことでは無い。」と。私のことじゃ無いけれど、そっか、そうだよね。と、あっさり腑に落ちた。

過去に積み重ねてきたものが多いほど、関わっている人が多いほど、自分のために選択するのは難しくなる。誰かの期待に添えなくても、過去の自分を手放してでも、新しい道を選べる強さが私には無い。況してや不安定な現代で挑戦するというのは区切りをつけるという意味で困難だと思う。私は未だに選べず、区切りをつけられず今日にいる。

普通の人間でいることは何より難しい。社会から漏れないように普通でいることが実は難しいと。

11月にしては暖かい毎日でも夜は冷えて足先が冷たい。今夜は442年ぶりの皆既月食らしい。外に出たけれど月が見えなくてYouTubeの生配信をつけた。去年の夏、月を見に行ったときも見えなかったことを思い出した。深く息を吸い込んだ分だけ吐き出す息も深く、静かな夜では随分と大袈裟な溜息のように響いた。いつの間にか睡魔が寄ってきて、30分だけ寝るつもりが、タイマーを間違えて1時間半に設定していた。目が覚めたら日付が変わる前で、何となく外に出てぼんやりとベランダに座っていたら朝の4時がきた。何も考えず、ただ寒さを身に纏いながら当たり前に朝が来てしまった。

なぜこんなに悲しいのだろうか。今日も待っている人からのメールは来ない。もう会えない人だと分かっていて「またね」と言うときは必ず、幸せでいてね、元気でいてねと願うけれど、私はそんな風に願われたことがあるのかなと不安になって涙がでる。