一昨年の手術痕
午前4時のラーメンに罪悪感も感じなくて
片方だけ先に切れるイヤホンのR
今日また爪を切り忘れたこと
置きっぱなしの小説
何食わぬ顔で共有する他人の個人情報
人間関係を断ちたい衝動との狭間
空気を読めないLINEに鎮まり
理不尽に怒られている子どもに泣くなど
中学生は頬骨の名前を知らないと言った
遠慮している街灯と雨にかき消される町内放送
自分の役割を果たすことだけを考えているみたいに
頼み方を知らない顔見知りのふたり
いつまでも過去の恋愛を手放さずに
ハラスメントに心を削がれても手放さずに
真夜中の雨の美しさに濡らされて
何度でも言う
明日は我が身だ