kiroku

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日々の記録

台湾の日差しは痛く、日本の日差しは鬱蒼。

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街の匂い、照りつける日差し、台北の穏やかな人混み。それは遠くに置いてきた後悔を1つずつ消していくような感じ。繰り返したいとは思わないけれど、振り返るとそれはとても幸せだったと感じるのは思い出の美化作業の途中だから。

人は誰でも後悔すると言うのは、大切なものや失いたくない思い出をどこかに置いてきてしまった時だと思う。もう二度と同じ感覚を手に入れることはできないけれど、持ち歩くには重すぎて、あらゆる場所に過去を置き去りにして生きている。自分で積み重ねてきたのに、気づけばそれが重くなって、その瞬間に荷物は置いたまま遠くへ行くように暮らしてきたんだと思う。たぶんそれはこれかも変わらない。決して綺麗なことばかりではないから、向き合うことは苦しみでもあるけれど。

まだ薄暗い高速道路をぶっ飛ばすタクシーの中から流れていく景色を見て、このまま時間が止まればいいのにと心から思った。帰国する時にタクシーの中で毎回感じる気持ち、この瞬間が好きで帰国しているような気もする。日本では感じることのできない速度でぶっ飛ばしてくれる運転手に感謝。そんな時間をあと何回過ごせるのか考えながら、台湾の朝を目に焼き付ける隣に座る彼を見て、自分の罪悪感が少し薄まったようにも感じた。

大切なものは多いほど良いらしい。何か1つを失っても寄りかかることが出来るから。でも、大切なものをいくつも抱えて生きるのは難しい。全てを大切にしているつもりでも、大切なその時に伝えられないと意味が無いから。それが出来ない人には誰かの時間を抱えている権利すらないのかもしれない。大切なものを手放して泣きながらでも1人で歩く方が合っている。

東京の匂いが醤油だとしたら、台湾は何だろう。空港からMRTに乗って台北駅へ行き、降りた瞬間の独特の匂いにも慣れて懐かしく思うなど。