自分の気持ちを言葉にできず涙が溢れてしまう夜は夜中に家を出て1人で歩いた。
夜道でも、1人でも、なにも怖くなかった。
今でも夜道を歩きたい日があるけれど、夜に1人で歩くことが怖くなった。
私はあの頃の強さを、夜の恐怖を得た代わりに失っている。
あの頃もっていたもの、失ってきたもの、たらればの話。
幸せとして残している記憶は、話すほど明確に浮き出てしまうかもしれない。
明確化してしまえば、幸せな記憶も本当はそうじゃない記憶かもしれない。
そして、そんな自分に気づいてる。
幸せじゃないかもしれないことに気づいている。
それでも、幸せな記憶として残している。
曖昧に幸せなまま放っておいてほしいと思っている私がいる。
私がはっきりさせたいことも、誰かにとっては曖昧に終わらせたいことかもしれない。
どんな問題も、曖昧なままでは、明確にされては、どこかで誰かが傷つくんだろうな。
意見を求められて、瞬間に相手に寄り添えることがいいのか、正直に私を伝えることがいいのか分からなくて長い間雑木林の中にいる。